第1章 知と魂の二重らせん
ホリスティックの核心を探るにあたり、まず注目すべきは「知」と「魂」の関係である。
私たちはしばしば、理性と感情、論理と直観を対立させて語る。しかし、それは片側からの見え方にすぎない。むしろ両者は、二重らせんのように絡み合い、互いを補完しながら上昇していく。
1.1 知(logos)の軌跡
知は、言語・数式・体系化を通じて世界を「分節」し、理解可能にする。
それは世界の複雑さを一時的に切り取り、枠組みを与える力である。
知は構造を明らかにし、因果や秩序を可視化することで、私たちの生を支えてきた。
しかし知が独走すると、世界は「図表」と「定義」に押し込められ、生きた響きを失う。そこに魂の関与が不可欠となる。
1.2 魂(psyche)の軌跡
魂は、感情・祈り・衝動・夢といった「生の余白」を司る。
それは言葉にならないものを抱え込み、時に混沌としたまま存在する。
魂は世界を「経験」として受け取り、響きや美を通して全体性を直感する。
しかし魂だけでは、全体は掴めても体系を欠き、流動に呑まれやすい。そこで知が必要となる。
1.3 二重らせんとしての統合
知と魂は、決して対立項ではなく、DNAの二重らせんのように交互に現れ、支え合いながら上昇する。
- 知が魂を地に定着させ、持続性と形を与える。
- 魂が知を天空に解き放ち、創造性と生気を与える。
この往還のリズムが失われると、人間は「合理性だけの乾いた機械」か「衝動だけの混乱」に陥る。
だが両者がらせん的に結合するとき、世界は意味と感動を同時に持つ「ホリスティックな場」となる。
1.4 知と魂を繋ぐ「音」への予兆
この二重らせんの運動は、音のリズムに似ている。
旋律は理性的な秩序を持ちながら、感情を揺さぶる響きを生む。
つまり、知と魂は本来「音的」であり、両者を橋渡しする原理がすでにその構造に内在している。
ここから第2章では、この媒介原理――音(resonance)について詳しく考察していく。