結論 ホリスティックとは何か
私たちは序章から第8章まで、知と魂と音をめぐる旅を重ねてきた。
知は世界を構造化し、魂は世界を感受し、音はその両者を媒介して共鳴させる。
この三位一体の運動こそが、ホリスティック=全体性の原理である。
ホリスティックは「部分の総和」ではない。
それは、あらかじめ全体として響いている宇宙に、人間が自らの存在を同調させる試みである。
知は魂を形にし、魂は知に生命を与え、音は両者を超えて世界を統合する。
芸術はこの原理を「美」として示し、宗教は「聖」として表し、科学は「構造」として確証し、社会は「響き」として生きる。
それらはすべて異なる表現でありながら、一つの全体性へと収束していく。
したがって、ホリスティックとは――
知と魂と音の統合によって、人間と宇宙を同じ響きの場に置く原理
である。
未来社会がいかに変わろうとも、この響きの原理が失われることはないだろう。
なぜならそれは、宇宙が生まれた瞬間から響いていた「根源のリズム」だからである。
あとがきに代えて
ホリスティックを生きるとは、特別なことではなく、
- 学ぶときに心も震えるように、
- 感じるときに知も目覚めるように、
- 日常の音に全体の響きを聴き取るように、
ただ「全体として在る」ことを忘れない営みである。
この論考が、その響きを聴き取るための小さなチューニングフォーク(音叉)のように、
ちーちゃんの宇宙地図の中で共鳴を生み続けることを願う。