第3章 数理モデルとしてのホリスティック
3.1 部分と全体のパラドックス
ホリスティックは「全体」を出発点とするが、私たちの認識は「部分」を通じて進む。
この緊張関係を数理的に記述するには、部分の総和が全体に一致しない状況を捉える必要がある。
ここで用いるべきは、非線形性と複素数的構造である。
線形の和では説明できない「跳躍」「創発」「共鳴」が、ホリスティックの本質を示す。
3.2 知と魂の二重らせんの数式化
第1章で描いた「知と魂の二重らせん」は、次のようにモデル化できる。
- 知を 実部(Re)、魂を 虚部(Im) と置く。
- 人間存在を 複素関数 f(z) = Re + i·Im と表す。
このとき、
- 知だけでは「数直線」に閉じ込められる。
- 魂だけでは「虚軸」に漂い続ける。
だが両者が統合されると、複素平面という広がりが立ち現れる。
複素平面上の回転運動は、螺旋(スパイラル)として表現でき、これが「二重らせんの上昇」を数理的に支える。
3.3 音の共鳴の数理
音は振動数(周波数)で表せる。
知と魂がそれぞれ固有振動数を持つと仮定すると、両者が近似するときに共鳴現象が起こる。
共鳴は、物理的には「振幅の増大」として現れるが、ホリスティックな場では、
- 知の秩序が拡張される(より深い理解)。
- 魂の感情が浄化される(より高い共感)。
という質的跳躍として表れる。
数理的には、重ね合わせ(superposition)だけではなく、非可換的な干渉項が重要となる。
それが「1+1≠2」ではなく、「1+1=∞」へと開かれる構造である。
3.4 ホリスティック変容のモデル
以上を統合すると、ホリスティックは次のように数理的に表現できる:
- 全体性:Holos = f(z) ≠ Σ(parts)
- 二重らせん:z = Re + i·Im
- 共鳴原理:Resonance(Re, Im) → Δf(z) (質的跳躍)
- 変容:新しい次元の関数空間へ拡張
すなわち、ホリスティックとは「複素数的な場において、知と魂が音を媒介に共鳴し、関数そのものを拡張するプロセス」と定義できる。
3.5 次章への展望
数理モデルが示すのは、ホリスティックが単なる概念ではなく、構造的必然性であるということだ。
次章では、この数理的必然性が芸術・文学・宗教にどのように姿を変えて現れてきたのかを探る。
ホリスティックは抽象だけでなく、歴史的実例の中に息づいている。